脂質異常症(高脂血症)とは

血液中のLDLコレステロール(悪玉コレステロール)やトリグリセライド(中性脂肪)が多すぎたり、HDLコレステロール(善玉コレステロール)が少なくなる病気です。

脂質異常症(高脂血症)患者数

脂質異常症(高脂血症)の総患者数は「平成26年 患者調査 厚生労働省」によると約206万2000人です。
男性は約59万6000人、女性は約146万5000人となり、女性は男性の約2.5倍多い結果となりました。

調査日に全国の医療施設で受療した推計患者数でみると、外来では約14万3700人、入院患者は約300人程で少なく通院での治療が大半であるということがわかります。

血液検査で発覚

脂質異常症は自分で気づくことはほとんどありません。自覚症状がほとんどないのが脂質異常症の特徴でもあります。
人間ドックや健康診断など血液検査で発覚した患者さんが多いのではないでしょうか。
その血液検査項目であるLDLコレステロール、HDLコレステロール、トリグリセライドについて説明します。

・LDLコレステロール
LDLコレステロールは悪玉コレステロールと呼ばれるコレステロールの一種です。
体内の血管などにコレステロールを運搬する働きがあります。
LDLコレステロールが多い場合、動脈硬化などを引き起こす原因となります。

・HDLコレステロール
HDLコレステロールは善玉コレステロールと呼ばれるコレステロールの一種です。
血管内壁にへばりついて動脈硬化を引き起こす原因をひきぬいて肝臓まで運ぶ働きがあります。
HDLコレステロールが少ない場合、動脈硬化の危険性が高くなります。

・トリグリセライド
トリグリセライドは中性脂肪のことで、血液中の脂肪の一種です。
中性脂肪の値が高いと動脈硬化を引き起こす可能性が高くなります。
また、肥満の度合いを示す指標ともいわれ、肥満傾向に見られる人はトリグリセライドの値が高い傾向にあります。

では次の項目で診断基準について見ていきましょう。

脂質異常症の診断基準

LDLコレステロール、HDLコレステロール、トリグリセライドの3つの検査の値によって脂質異常症であるか診断されます。
基準値は「脂質異常症治療のエッセンス」より以下の表のとおりです。


ここで気を付けたいのが、診断基準はスクリーニングするためのもので薬物療法を開始する値ではないということです。
また空腹時の採血を原則としています。

脂質異常症の治療①

脂質異常症の原因の多くは食事や運動の生活習慣が関係していると言われており、治療には生活習慣の改善が基本と言えます。
では「生活習慣の改善をしてください」と簡潔に伝えても、患者本人は具体的に何をすればいいのか教えてほしいというのが本音だと思います。
具体的な生活習慣の改善とは何か見ていきましょう。

・運動療法
中等度強度の有酸素運動を毎日30分以上続けることが望ましいです。
運動の種類としては、速歩やスロージョギング、水泳、サイクリングなどが挙げられます。
出来れば毎日30分以上、週180分以上が指針とされています。

効果として、体力の維持・増加、肥満の予防・治療効果などに役立ちます。
また他の持病によっては運動療法を進められない場合もあります。
主治医と相談してその指示に従って取り組むことが重要です。

・食事療法
食事療法ではまず伝統的な日本食を基本とすることです。
また、診断結果によって食事のポイントが変わります。

・LDLコレステロールの高い人
コレステロールと飽和脂肪酸を含む食品を減らす。
トランス脂肪酸を含む菓子類、加工食品の摂取を抑える。
食物繊維と植物ステロールを含む野菜類、海藻類、大豆製品などの摂取を増やす。
・HDLコレステロールの低い人
トランス脂肪酸の摂取を控える。
n-6系多価不飽和脂肪酸の摂取を減らすために植物油の過剰摂取を控える。
・トリグリセライド(中性脂肪)の高い人
糖質を多く含む食品(菓子類、飲料など)の摂取を減らし、アルコールは控える。
n-3系多価不飽和脂肪酸を多く含む魚類の摂取を増やす。

このように脂質異常症といっても、診断結果によって食事も変わってくるのでしっかり把握したうえで指導するのが良いと言えます。
これらの治療法以外にも、動脈硬化を進めないために禁煙し、受動喫煙の回避が進められます。

脂質異常症の治療②

生活習慣の改善でも脂質管理が不十分な場合は薬物治療を考慮します。

治療薬は主に
・LDLコレステロールを下げる薬
・トリグリセライド(中性脂肪)を下げる薬

があり、医師は患者さんそれぞれに適した薬を処方します。
また脂質管理目標値はあくまで目標値であり、薬物療法開始基準値ではありません。
若年者や女性で絶対リスクが低い場合には薬物療法は控えます。

治療薬の中には、グレープフルーツジュースなど食品で治療の効果に影響するものもあるので、しっかりと確認し指導することが重要です。
また、妊娠中の女性へのスタチンやフィブラートの投与は禁忌です。

さいごに

脂質異常症は生活習慣の改善をしたり、薬物治療でコントロールすることが可能な病気です。
数値が改善していけば薬の量を減らしたり、中止できることもあります。
そのためには、長い目で根気強く取り組んでいくことが重要である病気といえるでしょう。